女子は特に要注意!? 受動喫煙の怖さとは

女子は特に要注意!? 受動喫煙の怖さとは

百害あって一利なし!?
身近な嗜好品であるタバコ。自分が吸わなくても、周囲の人がタバコを吸っている場合、副流煙を吸い込んでしまう「受動喫煙」が気になりますよね。

副流煙は体に悪いみたいな話は聞くけれど、具体的な影響ってそんなに詳しく知らない気が……。というわけで、受動喫煙と病気のリスクについて、AIC八重洲クリニック循環器内科の手塚大介先生にお話を伺いました。

■副流煙には数倍の有害物質が!

──「副流煙は体に悪い」という話をよく聞きますが、具体的にはどういう有害物質があるのでしょうか?

「タバコの煙には200種以上の有害物質、50種以上の発がん物質が含まれています。中でも、ニコチン、タール、一酸化炭素が主要な有害物質です。これらの物質は喫煙者が吸い込む主流煙にも、周りの人が吸い込む副流煙にも含有されていますが、副流煙には主流煙と比べ、ニコチンは2.8倍、タールは3.4倍、一酸化炭素は4.7倍も含まれています。そのため、非喫煙者の方が多量の有害物質を吸ってしまう危険性があるのです」

──副流煙を吸うことで、どのような病気のリスクが高まりますか?

「まず脳卒中、虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)、肺がんなどのリスクが高まるでしょう。2014年には厚労省から、受動喫煙を原因とするこれらの病気による年間死亡者の推計値は、男性4,523人、女性10,434人、男女合わせて年間約15,000人というデータが発表されています。また子どものころに副流煙にさらされると、気管支喘息、肺炎、気管支炎になる確率が高くなると言われています」

──最近よく見かけるアイコスや電子タバコには副流煙の心配はないのでしょうか?

「タバコが燃焼することで生じる副流煙はありませんが、喫煙者の呼気に含まれる有害物質が空気中に飛散する可能性があります。

アイコスや電子タバコによる受動喫煙はまだ研究途上で、その効果を判定するには10年以上かかると考えられます。ただ、呼気に有害物質が含まれているのは明らかなため、リスクを考慮し、日本禁煙学会では禁煙スペースでのアイコスや電子タバコの使用は推奨していません」

■健康や美容にも悪影響!?

──副流煙が、女性の美容に悪影響を与えることはあるのでしょうか?

「あります。喫煙者には『スモーカーズフェイス』と言われる顔の変化が見られます。具体的には、シワっぽさや肌のくすみ、唇の乾燥、歯の変色などですね。喫煙者と同程度の時間・量で副流煙を吸ってしまった場合、非喫煙者であっても喫煙者のような状況が危惧されます。副流煙により考えられる悪影響については、どれだけ多くの量と時間、副流煙にさらされるかでリスクが変わってきます。

また、タバコの煙に含まれるニコチンは卵巣に作用し、血管収縮作用から血流減少を起こします。結果的にエストロゲンの分泌を減らしてしまうため、生理不順などを引き起こすケースも。さらに一酸化窒素が動脈硬化を起こし、血管の老化にもつながることもあるのです」

──妊娠や出産能力にも影響するのでしょうか?

「副流煙に関する研究では現在報告されているデータは少ないのですが、低体重児・早産が増えることが報告されています。ただ、その理由はわかってはいません。おそらく、胎児の血流が少なくなることや、ニコチンその他の有害物質による生理活性作用によって、妊娠が継続できなくなることがその要因と考えられます」

■副流煙だけじゃない! 三次喫煙とは

──副流煙を直接吸い込まなくても、髪の毛や衣類などにタバコの有害物質が付着して、それを吸い込んだりすることってありえますよね。それも健康に良くないのでしょうか?

「そういったケースは『サードハンドスモーク』、あるいは三次喫煙とも言われ、室内などの閉鎖空間で喫煙された時、その場所に残った物から有害物質を吸入することを指します。

サードハンドスモークでは、ニコチンが大気中の亜硝酸と反応し、発がん物質であるニトロソアミンを作り出します。ただ、副流煙の方が遥かに多くの有害物質を含んでいるため、サードハンドスモークに副流煙を吸入した場合と同程度の害があるとは考えられませんが、発育過程にある乳幼児や小児が特に影響を受けやすいとされています」

──身体に付着した「サードハンドスモーク」の有害物質は、時間とともに消えてなくなるのでしょうか?

「自然に消えることはないとされていますが、身体や衣服に付着したニトロソアミンは洗浄して消えると考えて良いでしょう。しかし、カーペットや壁紙に付着したものは洗浄が難しいため、残存すると考えられます」

──喫煙者、副流煙を気にするALICEY読者に一言お願いします。

「ヘビースモーカ―の家族に囲まれて過ごし、肺がんで亡くなった非喫煙者の女性を診たことがあります。喫煙は自分だけではなく、周囲の人の健康も脅かすものであると認識すべきだと思います。

周囲の喫煙者に禁煙を勧めることも優しさです。喫煙者はニコチン中毒に陥っているため、喫煙を正当化しようとする心理が働き、いろんな理由を付けて喫煙を継続しようとします。『禁煙外来で話だけでも聞いてきたら?』と勧めるなど、喫煙は本人・周囲の共有の問題であることを認識してもらいましょう」

昨今、路上喫煙禁止の動きが広がり、飲食店でも禁煙の店が少しずつ増えつつあるようです。今後の健康のためにも、家族や友人たちとタバコとの付き合い方をきちんと話し合ってみてはいかがでしょうか。


(五十嵐綾子+ノオト)

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