原因はストレス!? 喉に違和感を引き起こすヒステリー球とは

原因はストレス!? 喉に違和感を引き起こすヒステリー球とは

喉に何か詰まってる!?
食べ物が詰まっているわけではないのに、喉が何かで塞がれているような違和感を感じることはありませんか? もしかしたらそれは「ヒステリー球」という症状かもしれません。なぜこのような症状が起こるのか、心療内科・ベスリクリニックの田中奏多先生にお話を伺いました。

■自律神経の異常が違和感を招く

──そもそも、ヒステリー球とはどのようなものなのでしょうか?

「喉に何かが詰まっているような、塞がっているような違和感がある症状です。食べたり飲んだりしても痛みはありませんが、常に胸に閉塞感や異物感があり、その感覚を飲み込んだり、吐き出したりできない状態です。『ヒステリー球』は西洋医学での呼び方です。東洋医学では梅の種が喉元にあるような症状から『梅核気(ばいかくき)』と呼ばれています」

──ヒステリー球の原因は何なのでしょうか?

「原因はストレスだと考えられています。必要以上にストレスを受ける環境にいる、理不尽なことがあるのに我慢している、なかなかストレスを発散できずにいる、知らない間に身体に疲労が溜まる状況にいるなど、ヒステリー球は今の生活や自分の考えに対する身体からのサインとも言えるんです」

──ストレスがかかると、なぜそのような症状が出てしまうのでしょうか?

「ストレスが溜まると身体の自律神経の中で、興奮すると優位になる交感神経の働きが高まります。呼吸や発声、食べ物を飲み込む筋肉は、リラックスしている時に優位になる副交感神経がつかさどっているため、自律神経の働きがおかしくなると呼吸が浅くなったり、声が出にくくなったり、胸のあたりに違和感などを感じるようになったりすると考えられています」

■生活を整えて少しずつ治していこう

──ヒステリー球を治すには、どのように対処すれば良いのでしょうか?

「先ほどもお話した通り、ヒステリー球は現状を変えてほしいという身体からのサインです。ヒステリー球になった時は、今までの自分の感情や思考、生活の仕方に向き合ってください。その上で、ヒステリー球を治そうと努力するのではなく、まずはヒステリー球があっても生活できるように周りの人に助けてもらえるようにしてください。

基本的には睡眠、食事、運動、そして笑うこと。生活を整えることを心がけてください。特に食事はしっかり摂りましょう。消化の良いお粥などがオススメです。脂っこいものや刺激の強いものは食べ過ぎないよう、自分の体調と相談しながら召し上がってください。個人の体質や環境、ライフスタイルによる場合もあり、それらを突然変えることは難しいかも知れませんが、少しずつ自分の生活を整えることで、ストレスを解消していくことが大切です」

──病院ではどのような治療ができますか?

「大きくは薬物療法と非薬物療法に分かれます。薬物療法ではアルプラゾラムなどの抗不安薬や漢方薬を処方しています。漢方薬はその方の体力や身体の冷えなどを考慮し、お一人おひとりに合わせて処方していますが、ヒステリー球の方の身体は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という漢方薬が合う状態が多いですね。非薬物療法としてはまずカウンセリングがありますが、カウンセリングでお話がしにくい方には、ツボを叩くセラピー『EFT』や、花のエネルギーを用いて感情を整える『バッチフラワーレメディ』をオススメしています」

──ヒステリー球はどのくらいの期間で治るものなのでしょうか?

「一概にいつ治るとは言いにくい病気です。1週間で治る方もいれば、1カ月、2カ月、それ以上かかる方もいます。ただ、いつまでに治るだろうという見通しは、逆に自分の中でのプレッシャーになってしまうことがあります。ここまでに治る、治らなきゃという考えは逆効果の場合もあります」

■ヒステリー球は自分と向き合うきっかけ

──女性の方が発症しやすいというのは本当でしょうか?

「臨床的には女性に多いです。理由として考えられるのは、まずホルモンの推移です。男性にはない女性のホルモンの急激な変動が、精神的な不安を起こす原因の一つと言えます。また、相手の感情を察する強みが裏目に出てしまうこともあります。周りの空気に合わせる外の顔と、自分の内側の感情や思考に差が出過ぎてしまう、優しい人に多い症状です。しかし、女性だけでなく男性も発症しますので、実際は個人差によるところが大きいです」

──ヒステリー球に悩んでいる人へ、メッセージをお願いします。

「ヒステリー球に悩む方は少なくありません。患者さんを診ていて個人的に感じるのは、他人の感情を読み取る力が強すぎて、気を遣い過ぎてしまったり、人間関係に悩んでしまったりする方が多いということです。自分よりも他人を優先するような優しい人、心配性の人などにヒステリー球が多いと感じます。自分の中で形にならないものがあるけれど、それをうまく形にできない、うまく伝えられない、そんな焦燥感が募って、身体が心の悲鳴を代打した状態です。ヒステリー球は自分と向き合う一つのきっかけだと考えています」

ヒステリー球は目に見える病気やケガなどとは違い、外から症状がわかりにくく、自分の中で抱え込んでしまいがちです。密かに悩んでいる人は、まず自分の気持ちや生活にじっくりと向き合い、自分に合った治療法を少しずつ試してみてはいかがでしょうか。


(五十嵐綾子+ノオト)

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