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足のむくみは危険信号! 女性は特になりやすい「下肢静脈瘤」って?
知っておきたい病気・健康のはなし

足のむくみは危険信号! 女性は特になりやすい「下肢静脈瘤」って?

最近、足がむくみがち。膝から下がなんだかだるい……。そんな人は、もしかしたら「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」という病気にかかっているかもしれません。

下肢静脈瘤は、足の静脈の血管がふくれてコブのように浮き上がる病気で、特に女性は男性よりもなりやすいとか。その症状と予防策や治療法について、北千住静脈瘤クリニックの院長・入谷哲司先生に伺います。

<入谷先生のプロフィール>
2001年、昭和大学医学部卒業。同年、昭和大学藤が丘病院形成外科に入局。2009年に横浜旭中央総合病院の形成外科医長に。2017年に、下肢静脈瘤に特化した専門クリニック・北千住静脈瘤クリニックを開院。

■おもな症状は足のだるさやむくみ

──「下肢静脈瘤」とは、どんな病気なのでしょうか。

「下肢静脈瘤は、足から心臓に向かう静脈内の血液の逆流を防ぐ静脈弁が壊れることにより起こる疾患です。足の静脈弁が壊れると血液が逆流しやすくなり、静脈内に血液が溜まりやすくなります。その状態が悪化していくと、血液が溜まっている静脈の血管が外見からも分かるほどコブ状に膨れたり、クモの巣状に見えたりします。

ただ、症状そのものが悪いわけではなく、静脈内の血液の逆流を防ぐ弁が壊れるということが、良くないことなのです。なぜならば、血液が逆流し、それと一緒に、人体に影響のある様々な物質も少しずつ足の静脈の血管内に徐々に溜ってくるからです。その物質が影響を及ぼし様々な症状が出てきます」

──どのような症状が表れるのでしょうか。

「ふくらはぎがだるい、重い、疲れやすい。足がむくむ、つる。初期症状は、足がだるい、つるというのが多いですね。

個人差があるので、コブが初期に出る人もいれば、病気が進行してから出る人もいます。逆に言うと、弁が壊れていればコブがなくても症状だけ表れる人もいます。これは『隠れ静脈瘤』と言われています」

■女性は男性の2倍もなりやすい!?

──なりやすいのはどういった人でしょうか?

「どんな方でもなる可能性がありますが、立ち仕事でも座り仕事でも、同じ姿勢から動かないような仕事の方はなりやすいです。具体的には、特に多いのは調理師、美容師、理容師の方。そういう、狭いところで立ちっぱなしで動かない人に多いです。よく歩いている人には比較的少ないと言われています。

高齢になればなるほどなりやすいですが、かなりレアなケースでは10代の患者さんもいました。大体は40、50代くらいの方が多いです。女性の方は、むくみが気になる方も多いと思いますが、医院に来てみたら下肢静脈瘤だったという人はいます」

──女性のほうがなりやすいんですか?

「何割とは言えませんが、うちの病院で言うと女性2:男性1くらいの感じですね。あとは女性でも特に妊娠・出産の回数が多い方ほどなりやすいようです」

──それは、なぜでしょうか。

「妊娠することでお腹が大きくなり、足の血管に圧がかかりやすいからだと思います。妊娠・出産を契機に症状が出る人は多いですね。女性の患者さんが多いというのも、妊娠・出産が関係していると思います」

──遺伝的なものは関係ありますか?

「ありますね。両親が下肢静脈瘤になっていると、8割9割なるのではないかと言われています。症状がなくても、検査してみたら静脈弁が壊れていたという方もいます」

■ストッキングで予防できる

──何か予防策はありますか?

「着圧ストッキングを履くことをおすすめしています。心臓に血液を戻すサポートをすれば、静脈瘤の進行を抑えられるので。ストッキングは専門のものもありますが、普通にドラッグストアで売っているものを買っていただければ大丈夫です。ひざ下部分だけのもので問題ありません。

あとは、ふくらはぎの筋肉が大事なので、ストレッチやウォーキング、ランニングといった運動をするように心がけると良いと思います」

──では、どのくらい症状が出たら病院に行ったほうがいいのでしょうか?

「足がだるい、足がむくむという症状を感じて来られる方が多いですね。痛みとコブの相関性は実はそこまでないんです。コブが出ていてもだるさやむくみなどの症状を感じなければ気にせず日常生活を送る方もいますし、コブがなくても症状があれば来院する方もいます。そのあたりは患者さんの要望によって治療するかしないかを決めていきます。

症状が軽ければ進行を予防することをおすすめしますが、治療をするかしないかは症状や見た目の具合、本人のつらさ次第というところはありますね。命にかかわる病気ではないので、患者さんのご希望があれば治療は進めていきます」

■日帰り手術で歩いて帰れるカテーテル治療が主流

──では、治療が必要な方には、どんな治療をするのでしょうか。

「最近は、基本的にはカテーテル治療です。レーザーや高周波の熱など種類はあるのですが、カテーテルを血管の中に入れて弁を焼いてしまいます。壊れた弁を治すことはできないので、そのように処理します。

昔は血管を取る治療をしていました。静脈瘤ができるのは深部静脈というふくらはぎの中心に通っている血管から枝分かれした血管で、こちらは取っても支障はないんですよ。 ただ、入院したり全身麻酔したりと大ごとになるので、今ではカテーテル治療が主流です」

──カテーテル治療だと、患者さんもかなり楽なのですか?

「片足だと15分~30分、両足やったとしても1時間以内で済みます。歩いて来て、歩いて帰れる治療で、次の日からシャワーも浴びることができます。局所麻酔でできますので、傷も1mm程度の針孔ができるくらい。それもすぐに戻ります。麻酔の注射さえしてしまえば、治療中の痛みもありません。治療後の痛みも、痛み止めのお薬は一応出しますが、8割くらいの人は飲まずに済むくらいのものですね」

──意外と治療のハードルは高くないですね。コブは治療によって完全になくなりますか?

「あまりひどいと残ってしまうこともあります。風船と一緒で、一度ふくらませしてしまうと後からしぼませても完全には戻らず、ちょっとふくらんだ状態で残るんです。 治療をして、すごくきれいになる人と多少残る人と個人差はありますね。気になる場合は、硬化療法といって血管にお薬を注射して、さらに縮めて目立たなくさせることもできます。あまりひどい時は、コブ自体をとってしまうという治療と併用することもあります」

70代女性患者 左:手術前/右:手術後3か月経過
病名:右左小伏在静脈瘤 手術内容:下肢静脈瘤血管内焼灼術
費用:【保険】3割負担の場合/約45,000円 【保険】1割負担の場合/約15,000円
※手術の副作用・リスクなどは、深部静脈瘤血栓、血栓性静脈炎、皮下出血、足のつっぱり感等の可能性があり、術前後の検査にて、状態の評価が大事だそうです。

──再発の可能性はありますか?

「基本的に1回治療してしまえば同じ血管が静脈瘤になることはないです。別の血管でなることはありますが。あまりにコブが大きいと、焼ききれず残ってしまう場合もまれにありますが、基本的にはないですね」

──では最後に、アリシー読者にメッセージをお願いします。

「下肢静脈瘤は、検査ですぐにわかる病気です。エコー検査なので、ゼリーを塗って表面から当てるだけで痛くもかゆくもないですし、10分~20分くらいで結果がわかります。

足に何らかの症状を抱える女性は多いと思いますが、下肢静脈瘤という病気も1つ頭に入れておき、気になったら検査だけでも来ていただければと思います」


誰でもなる可能性があり、女性は特になりやすいと言われる下肢静脈瘤。ですが、予防策も治療法も確立されており、恐ろしい病気ではないということがわかりました。慢性的な足のむくみやだるさが気になる方は、一度検査だけでも受けてみてはいかがでしょうか。

(小林麻美+アリシー編集部)