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生理は百害あって一利なし!? 婦人科医が低用量ピルを勧める理由
生理にまつわるエトセトラ

生理は百害あって一利なし!? 婦人科医が低用量ピルを勧める理由

生理日の調整やPMS改善など、様々な用途に用いられる「低用量ピル」。まだまだ「避妊」としての役割のイメージが強いかもしれませんが、実は、それ以外にも女性の体にとって大きなメリットがあるそうです。

よしの女性診療所の吉野一枝先生も、「女性は普段から低用量ピルを飲んだほうがいい」と勧める医師の一人。なぜ低用量ピルがオススメなのか、ズバリ教えていただきました。

■低用量ピルは、生理痛の治療薬にもなる

──「低用量ピル=避妊」というイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか。

「もちろん『予期しない妊娠を防ぐ』というのが本来の役割ですが、今は日本でも、『生理痛の治療薬』として保険適用になっている低用量ピルが7種類も出ています。

ただ、それを知らない親世代がとても多く、『ピルを飲む=性が乱れる』と誤解されているのが現実です。先述の通り、治療薬としての役割もあることを知ってほしいです」

■排卵すること・生理がくることは、健康のバロメーターではない

──月経痛の治療以外にも、低用量ピルを飲むメリットはありますか?

「大いにあります。排卵をお休みし、出血量を減らすことで卵巣が傷つくのを防ぎ、子宮の負担を減らせますから」

──えっ。排卵や生理は、体に負担がかかるのですか?

「はい。毎月排卵や生理がくるのは、別に体にとっていいことではありません。排卵も生理も、そもそも妊娠のためのものですからね。妊娠を望んでいない時に毎月排卵・生理がくるのは、実は卵巣を傷つけ、子宮に負担をかけているだけで、全然メリットはないんですよ」

──毎月同じサイクルで生理がくるのは、健康のバロメーターだと思っていました……。

「むしろ、妊娠したくない時に排卵させるのは、卵子が無駄になってしまうのでもったいないですね」

■排卵を繰り返すと「いい卵子」が減ってしまう

排卵が起こるたびに、元気な卵子から減っていく

──毎月の排卵が「もったいない」とは、どういうことでしょうか。

「だって、元気な赤ちゃんになる元気な卵子から、順次排卵されてしまうわけですから。毎月ただ排卵をやり過ごすのは、いい卵子が減っていくだけ。

それで、35歳を過ぎて『そろそろ赤ちゃんが欲しいな』と思っても、その時にはもういい卵子がなくなっていて、不妊症になってしまう……という人も多いんですよ」

──つまり、将来子どもが欲しいなら、早いうちから低用量ピルを飲んでいたほうがいいということですか?

「そうですね。たとえば、元サッカー選手の澤穂希さんはずっと低用量ピルを飲んでいたことを公表されていましたが、彼女はピルをやめたら37歳ですぐに妊娠しました。ピルを飲んでいると、自然妊娠が難しい年齢になっても、彼女のように不妊治療をせずにうまくいく人も多いんですよ」

■低用量ピルは、病気や更年期の予防にもなる

──では、生理があること自体、別に好ましいことではないと……。

「たくさん赤ちゃんを産んでいた時代なら、良いことでした。でも今はむしろ、産まなくなった女性にとって、生理は健康を害するものと言ってもいいくらいです。

妊娠中は排卵も生理もお休みになるので、出生数の多かった時代は婦人科系の病気も少なかったのですが……。今は出生数が減り、逆に女性の排卵と生理の回数が増えた分、昔に比べて卵巣や子宮の病気になる人も増えています。そういう観点からも、低用量ピルを飲むのは非常に理にかなったことだと言えますね。

それに、ピルを飲んでいるとホルモンが安定するので、50歳くらいまで飲んでいると、体がラクなんですよ。年齢を重ねても、更年期知らずの体でいられます」

──なるほど。ピルは本当に、良いこと尽くしなのですね!

「もちろん、副作用がない薬なんてないので、低用量ピルにも多少の副作用はあります。ただ、気をつけて飲めばとても便利なお薬だということは、もっと多くの女性に知ってもらいたいです」

■副作用もあるが、正しい知識があれば大丈夫

低用量ピルの服用で稀に「血栓症」の副作用を引き起こすことがある

──副作用を防ぐために、具体的にどんな点に気をつけたら良いでしょうか?

「最も重篤な副作用は『血栓症』です。対処が遅れると命に関わることもあります。ただ、初期症状が出た時にきちんと対処すれば大丈夫です」

──血栓症の初期症状について教えてください。

「例えば、片側のふくらはぎや腕だけが腫れて、握ると痛かったり、視野狭窄(視界が欠けて狭くなること)になったり。こうした症状は血管が詰まっている証拠で、血栓症の初期症状です。

それを知らないで、ふくらはぎが痛いからと言って整形外科に行って湿布をもらって帰ってくる……なんていうのは危険ですよ。血栓(血管の中で血液が固まったもの)が他の場所へ飛んでしまうと、脳梗塞や肺梗塞が起こることもありますから」

──怖いですね……。

「まあ、低用量ピルによる血栓症のリスクは喫煙や妊娠に比べてかなり低く、滅多に起こるものではありません。大切なのは、万が一に備えて正しい知識を持っておくことです」

──最後に、読者であるアラサー女子の皆さんに一言お願いします。

「今はまだ、初めての患者さんにピルを勧めると、『みんな飲んでますか?』と聞かれることがよくあります。『みんなが飲んでいるから飲む』『みんなが飲んでいないから飲まない』ではなく、一人ひとりがきちんと正しい情報を仕入れて、自分の体を守ってほしいですね」


現在、低用量ピルの価格は、一番安いジェネリックのもので保険適用の場合、月1,500円程度(※)。生理が来て一通りナプキンを買い揃える場合と、そこまで出費に差はないことがわかりました。

また、低用量ピルを飲めば1回の生理が軽くなる上に、いつ出血させるかをコントロールできるので、生理の回数を年に3〜4回に減らすこともでき、とてもラクになるそうです。こうした様々なメリットがあることから、「飲まないのが不思議なくらい」と吉野先生。筆者もこれを機に、さっそく低用量ピルをもらいに婦人科に行こうと思いました。

※現時点で保険適用になるのは生理痛のケースのみ。PMS改善や月経調整の場合は自費となります。自費の場合は月2,000円弱~4,000円程度かかるそうです(クリニックによって価格は異なります)。

(谷村あすか+アリシー編集部)