1回の予防接種ではダメ! 女子が知るべき「はしか」の知識

1回の予防接種ではダメ! 女子が知るべき「はしか」の知識

何回受けたか覚えてる?
2016年夏ごろに、関西国際空港や千葉県のコンサート会場ではしかの発症者が出たニュースを覚えていますか? はしかの正式名称は麻疹(ましん)。非常に感染力が強く、1000人に1人は死亡することもあるんだとか。

かなり恐ろしい病気ですが、あなたははしかについて正しい知識を持っていますか? 一体どんな病気なのか、麻疹の撲滅に取り組む国立感染症研究所感染症疫学センター第三室の多屋馨子室長にお話を伺いました。

■医師でも風邪だと思いがちな「麻疹」の症状

──麻疹とは一体どんな病気ですか?

「麻疹ウイルスにより引き起こされる、急性の全身感染症です。感染すると10日間の潜伏期間を経て、38℃程度の発熱や咳、喉の痛み、目が赤くなるなどの症状が出ます。その後いったん37℃程度に熱が下がるのですが、口の中にコプリック斑という粘膜疹ができてきます。そして、翌日には39~40℃程度まで熱が上がり、全身に発疹が出ます」

──最初は風邪のような症状なのですね。

「そこが問題で、実は37~38℃台に熱が上がる前日から感染力があります。しかし、数日経っていったん37℃程度に熱が下がることで出社や外出をしてしまう人が多いんです。この時期は1番周りの人にうつす時期なので、周囲の人に感染させてしまうことが増えます。医師でも麻疹を疑わないことがあり、病院内で感染が広がってしまうこともあるんです。

そして、抗ウイルス薬はなく、対症療法が中心となります。また著しく免疫機能が低下するため、その間にかかった感染症が重症になることもあるんですよ。日本を含めた先進国においても統計上、麻疹にかかった人の1000人に1人は死亡することがわかっています。少ない数字と思われるかもしれませんが、2000年頃は全国で20~30万人、2回の予防接種が徹底される2008年までは全国で1万人以上の患者が出ました。脳炎を併発すると命に関わりますし、治っても障害が残ることがあります。また妊娠中にかかると妊娠を継続できず流産や早産になってしまうこともあります」

■体育館に1人感染者がいれば、抗体を持たない人はほぼ感染!

──感染力が強いと聞きましたが、どのくらい強いのでしょうか?

「感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染です。空気感染を起こすので、体育館のような広い空間でも患者が一人いれば、抗体を持たない人はほぼ感染します」

──患者に近づかなければ大丈夫というわけではないんですね。マスクや手洗いでも防げないのでしょうか?

「残念ながらマスクや手洗いうがいでは防ぐことができません。確実に防げるのは予防接種のみになっています」

──予防接種を受ければ防げるということでしょうか?

「麻疹の予防接種は現在では2回接種することになっています。一度の予防接種で免疫(抵抗力)が作られる割合が95%程度なんです。2回行なうと99%程度の割合で麻疹に対する免疫(抗体)がが体の中にできます。しかし、今現在1回しか受けていない、または2回とも受けていないという方がいて感染が広がってしまうんです」

■22〜26歳の人の2割は予防接種を1回しか受けていないかも

──どのような方が受けていないのでしょうか?

「予防接種の制度はいろいろ変わっていて、2016年現在で27~43歳の方は子どもの頃に一度だけ予防接種をする機会がありました。22~26歳になる方は高校3年生相当年齢で2回目の接種を受ける機会があったのですが、受けていない方も全体の2割ほど出てしまいました。そうした方は麻疹の免疫を十分に持っていない可能性が高く、今後感染して発症してしまう可能性が高い状態と言えます」

──受けたかどうかの記憶があやふやなんですが、どうしたら良いでしょうか?

「母子健康手帳を確認してください。みなさんご実家にあると思いますよ。もしない場合は、ぜひ予防接種を受けてください。抗体を持っているかどうか血液検査で調べることもできますが、別途費用がかかります。たとえ2回受けてしまっていて、さらに追加で接種しても健康への影響はありません」

──予防接種が受けられないケースはありますか?

「妊娠中・妊娠の可能性がある場合、免疫抑制剤を使用している場合、ワクチンの成分で重症のアレルギー反応を起こすことがわかっている場合、発熱がある場合は受けられません。ですが、妊娠は出産が終わったら、発熱は解熱したら接種することが可能ですよ。病気や体質で予防接種を受けることができない方々がいる以上、そうした方を守るためにも、受けられる方は予防接種を受けてください。万が一、予防接種をしたのに麻疹にかかることがあっても『修飾麻疹』という軽い麻疹で済むことがほとんどですよ」

──麻疹に対して、特に女性が気を付ける点はありますか?

「2回目の接種が確認できないようだったら、麻疹と風疹の両方を予防できる麻疹風疹混合ワクチン『MRワクチン』の接種をオススメします。女性は妊娠出産という可能性がありますが、もし妊娠中にかかると、麻疹では妊娠の継続が難しくなったり、風疹では子どもに障害が残ったりすることがあります。女性は、接客業に就いている方も多いですし、妊娠している友人などに接触することも多いですよね。そうした場合に感染させてしまう可能性を減らすというのは大事なことです。まだ私は妊娠しないからなんて思わないで、予防接種歴の確認をしてみてくださいね。また、自身に免疫があると妊娠した時に、胎盤を通じて赤ちゃんに『移行抗体』という母体由来の抗体を渡すことができます。これは予防接種ができない0歳の赤ちゃんにとって強力な応援となるんですよ」

──その他の注意点はありますか?

「日本では大流行を押さえ込むことに成功しつつありますが、海外では流行している地域も多いです。感染したのに気が付かずに帰国し、飛行機や空港で感染を広げてしまうケースは多々あります。また、海外旅行先で発症すると、移動を禁止されて治るまで帰国を制限されるケースもあります。なので、海外旅行へ行く前にもMRワクチンの接種をオススメしますよ」

──病院では何科にかかれば良いでしょうか?

「内科か小児科で受けることができます。大人でも相談すれば小児科で接種してもらえますよ。いずれにしても電話で問い合わせて、予約をしてから受診してくださいね」


「恋ははしかに似ている」なんていうセリフがありますが、そんな悠長なことを言っている場合ではありません。今すぐ予防接種の記録を確認してみましょう。回数が少なければ、予防接種の予約のTELを! そして、海外旅行の予定のある友人や職場の方がいたら、ぜひとも話題にしてみてくださいね。

(田中いつき+ノオト)

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