電球ない! 封筒もない! 無人でオープンしている島の雑貨店

電球ない! 封筒もない! 無人でオープンしている島の雑貨店

【三谷晶子の島暮らしあるあるVol.2】
こんにちは。東京生まれ、東京育ち。ですが、現在、「羽田から7時間以上かかる」鹿児島県・奄美群島の加計呂麻島(かけろまじま)に住んでいる小説家の三谷晶子です。

先日、加計呂麻島に遊びに来ようとした友人が、フライトの1週間前に慌てた様子でこう言いました。

「すいません……! 私、パスポートの期限切れてたの忘れてました!」

うん……東京からホノルルより遠い(羽田→ホノルルのフライト時間は約6時間50分)ところだけど、ここは日本なんだ……。

そんな物理的にも東京から遠い加計呂麻島。手に入るものや生活習慣も都会とはずいぶん違います。
そんな私が見聞きした「島暮らしあるある」をお話しようと思います。

■手作り封筒を作り、秋田にいる祖母のことを思い出す

こちらは島在住の方々が作った手作りピアスや、島に生えていて虫刺されなどによく効く月桃という植物のエキスや手作りクリーム。島暮らしが長いと手作りスキルも上がるようです。
加計呂麻島に来て数週間ほどたったある日。旅立つ前にお世話になった友人や知人に、お礼をかねて、私はこちらの名物の加計呂麻島自然海塩工房のさんご塩を送ろうと思いました。

工房のご主人から塩を購入し、友人たちから住所も聞き、あとは送るだけ。

その時、私は気付きました。

封筒が、ない。

加計呂麻島にはスーパーはもちろん、コンビニ、文房具店などありません。頼みの綱は日用品が少量置いてある小さな商店のみ。

「すいません、封筒置いてますか?」

「ごめんー、封筒はないわー」

商店の奥さまは明るくあっさりとこう言いました。

封筒を買うだけのために、フェリーで20分の奄美大島まで渡るのは面倒。その上、島から都内への郵便は届くまで3~4日かかる。
フェリーの上からの景色は、晴れていればこんな感じ。奥に写る島の海岸線沿いがいつも買い物に向かう奄美大島の港町、古仁屋です。
できるだけ早く荷物を送りたかった私は、手元にある使用済みの封筒や包装紙で自作することにしました。

私は東京生まれなのですが、祖父母は秋田の山間部に在住しています。その祖母は昔から大きな段ボール一箱分ぐらいに包装紙を溜め込んでいました。

幼いころの私は、なぜそんなに包装紙を溜め込むのか疑問だったのですが、今ならわかります。

交通のアクセスが悪い地方や島じゃ、そう簡単に封筒も手に入れられないものなのです。

というように、加計呂麻島には、本当に何もありません。

先日、台所の電球が切れて商店に行ったところ、電球すらありませんでした。

数日間、台所が真っ暗で、台風対策に買ったLEDランタンとキャンプ用のヘッドライトが活躍。まさかの室内でのアウトドア体験でした。

■しかし、思い通りにならないからこそ、のどか

そのように品数が少ない加計呂麻島の商店ですが、だからこそのいいところもたくさんあります。

ある日、私が商店に行くとお店は開いているのですが、声をかけても誰もいない時がありました。

その時の私は、用事があって急いでいました。商店の奥さまはもちろん顔見知りのご近所さん。

ごめん! どうしても急いでいるから、お金を置いて品物をもらって後でそのことを伝えよう!

お金を置いて、商品を持っていく私。万引きじゃないけど、万引き気分です。

そして、翌日、「すいません、昨日急いでいて、お金置いて商品持っていったんですけど」と商店の奥さまに言うと、

「あーいいのいいの。島は年寄りが多くて配達も多いからいない時も多くて。これからもお金置いて持って行ってくれていいからー」

……いいんですか?

のどかにもほどがあると衝撃でした。

ちなみにその商店の前にはこんな自販機が。
発見した瞬間、穏やかな時間が流れる島の中、一人混乱しました。

おしるこ……。COLD……。ていうか、手書き……?

わからん! いっそ、飲んでみる!? でも、売り切れ!

と、封筒も電球もないけれど、のどかさと突っ込みどころは満載の加計呂麻島。

東京では当たり前に買えたものがないということに最初は驚いたけれど、島の穏やかな海と流れるゆっくりとした時間はかけがえのないものだと思っています。

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