思わず目頭が熱くなる「大人絵本」を読んでみた

思わず目頭が熱くなる「大人絵本」を読んでみた

愛が詰まった、泣ける2冊をご紹介
小さいころ、大人に読んでもらった絵本。子ども心ながらに、世の中のルールや人間愛、正義と悪、生と死などをぼんやりと学んだような気がします。だけど所詮、絵本は子どものためのもの。多くの人は大人になってから読んだことはほとんどないと思います。

大人になってから絵本を開いてみる。子どもの時とはまた違った感動を得る瞬間があります。言葉が心に染み入る絵本、美しさに時を忘れさせてくれる絵本、経験を重ねたからこそ共感できる絵本…絵本の世界の懐の深さを感じてください。

最近、あえて大人に絵本をプレゼントするなんて人もいるようです。大人になった今改めて読むと、当時とは違った気づきが得られるかも……。ということで、20代の筆者も“考えさせられる大人絵本”を読んでみました!

■愛を知った猫の物語「100万回生きたねこ」

「100万回生きたねこ」(作・絵=佐野洋子)
評判はというと……。
内容は、一度も死を恐れたことがないねこが100万回生まれ変わった後、美しい白いねこに出会い、生まれて初めて自分よりも好きな存在ができて、愛の意味を理解するといったもの。愛を知ったねこは、死を悲しみ、そして充実した気持ちで安らかに眠るのですが、そこで初めて輪廻転生が終わります。

100万回も生まれ変わった意味は、きっと大切な存在や愛情を知るためだったような気がします。人生は愛こそが大事というメッセージのような感じもしました。好きなねこに出会ったねこは、取り繕ったり、気取ったりしなくなるのですが、私たち人間にも同じことが言えますよね。自分が一番大切な時にはあり得ない、大切な誰かをいつくしむ気持ちに心洗われること間違いなしです。

<筆者お気に入りフレーズ>

「そばにいてもいいかい」

自分が一番好きだった猫に気持ちの変化が生まれ、初めて他者に寄り添いたいと懇願するシーンのセリフ。猫を翻弄する白い猫のように、私も魅力的な女になって男性から言われてみたいものです。

■優しいタッチに心温まる「手ぶくろを買いに」

「手ぶくろを買いに」(作=新美南吉、絵=黒井健)
評判はというと……。
「お母ちゃん、お手々が冷たい、お手々がちんちんする」。そう言って赤くなった手を母さん狐に差し出す子狐。母さん狐は子狐の片手だけ人間の手に変え、お金を持たせて手ぶくろを買いに人間の住む街へ行かせます。子狐は間違って人間の手ではないほうでお金を差し出してしまうのですが、店主に捕らえられることなく無事に買うことができました。子狐は人間が恐ろしいものではなかったと母さん狐に伝えると、母さん狐は「ほんとうに人間はいいものかしら」と2回呟いてエンディングを迎えます。

子狐の無邪気さに母性本能をくすぐられるシーンが満載な一冊。淡い色使いと愛らしい狐の姿にはほっこり癒されました。「これで終わり?」といったあっけなさがありましたが、最後の母さん狐のひと言に凝縮されている感じもして、色々と考えさせられます。人間と狐の生存所属を異にする二者の手ぶくろを介した交流がキーポイント。

<筆者お気に入りフレーズ>

「このお手々にちょうどいい手ぶくろ下さい」

子狐の言葉の端々に感じられる、幼子特有のかわいらしい話し方に思わず萌えてしまいました。


いかがでしたか? 明快な絵柄とシンプルな文章は、大人になった今だからこそストレートに伝わり、心に染みるのかもしれませんね。一読する価値はありそうです。

(藤田佳奈美+ノオト)

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